iwapenの日記

60歳にして考古学を学びに大学に入りました。また、社会や政治についても思いの丈を発信してます。

卒論に向けて

今日は、考古学専攻のゼミで、卒論に向けてのレポートを発表しました。
半年前に入学したばかりなのに、もう卒論!でも、3回編入生なので、来年の12月の卒論提出から逆算すると1年と少し。しっかりとした卒論を書くなら、もう準備を始めていかなければならない時期なのです。

とりあえず、今日は、テーマと大まかな研究史と、今後必要な研究課題と、現時点でやり始めた資料や文献の収集状況などをまとめて報告。
細かい研究史とか省くと以下のような発表でした。

やりたいテーマは縄文時代中期の中部高地エリアにおける土偶とその他土製品や石器や集落形態とかの相互関係的考察です。メインはこの時代・地域での土偶の役割や意味を明らかにすること。

この間の研究で分かって来たことは、縄文時代中期、松本、諏訪、八ヶ岳西南麓、甲府盆地と連なる地域の土偶は、どれも似たような顔の表情や類似する体部の文様が見られ、このエリアの人々は明らかに同じ文化を共有し合っていたという事実です。
その上で、諏訪地域の霧ヶ峰山麓には、1千年にも渡る拠点集落がいくつか存在し、いずれも霧ヶ峰北方に産出する黒曜石を大量に保有し、加えて大量な石鏃を加工生産していました。
そして、この拠点集落の一つ棚畑遺跡から、このエリア・時代を代表する土偶、国宝縄文のビーナスが出土し、加えてこの棚畑遺跡は、黒曜石が八ヶ岳甲府盆地や南西関東に伝わる流通路の始点でもあったのです。

こうしたことから、この交易品ととしての黒曜石が、これらの地域を繋ぎ、その結果、棚畑遺跡で生み出された土偶に類似した土偶や土製品がこのエリアに展開されたと考えており、このことを証明する為の作業を今後やっていきたい、ということです。
合わせて、この地域には、石棒や埋甕、環状集落が土偶と関連して展開しており、できれば、それらとも関連付けてこの地域の文化特性を明らかにしたいと考えています。

そんなことを報告しました。先生からは、縄文時代でも最も注目されてきた時代・地域で、なかなか、卒論で独自な視点を出すのは大変です。でも、土偶だけとかの研究はやり尽くされた感がありますが、このようにほかの要素と関連付けての研究は不十分なので、さらにあまり研究されていない地域など、もう少し周辺の地域の情報も集めて、黒曜石と土偶との関係を示すことができるといいですね、と言ったアドバイスでした。

さあ、頑張らないと!