iwapenの日記

60歳にして考古学を学びに大学に入りました。また、社会や政治についても思いの丈を発信してます。

日本の近代化は如何に。

❶近代化は、本来、産業化、都市化、民主化の3つの契機が一体化するもの。
しかし、日本では、明治期、国家による上からの近代化で、猛烈な産業化と都会化を遂げつつ、民主化は完全放棄。
否、国民は信仰すら一元化され天皇を神として崇める臣民、天皇の為に死ぬ奴隷とされた。侵略戦争はその帰結だ。

❷戦後は、米国主導の民主化がもたらされたが、国民自身が憲法制定勢力として民主憲法を獲得したわけでは無い。しかし、戦前から変わらぬ支配階層への立憲的抑制装置としては大いに機能した。労働運動を軸とする社会の民主化が拡大したが、企業別組合主体で衆愚政治は超えられず主権者は育たなかった。

❸世界がベルリンの壁崩壊で独裁国家が次々と民主化される中、日本はむしろ政治腐敗と企業支配が深まり、労働者・庶民は主権者から遠ざかる。さらに、バブルにより都会化が促進され、人々は煌びやかで快楽的消費行為に酔った。もはや政治的民主化はどうでも良くなった。隣国韓国の民主化闘争と対照的。

❹そして、バブル崩壊と小泉構造改革。非正規雇用が常態化し、労働者の賃金も雇用条件も切り下げられ、ブラック企業と過労死・自殺が増加。民主化すべき課題は溢れんばかりなのに、むしろ労働者・庶民は自己責任論を自己内化し、お互いを排斥し合った。民主化の為の連帯など不可能になった。

❹そして、バブル崩壊と小泉構造改革。非正規雇用が常態化し、労働者の賃金も雇用条件も切り下げられ、ブラック企業と過労死・自殺が増加。民主化すべき課題は溢れんばかりなのに、むしろ労働者・庶民は自己責任論を自己内化し、お互いを排斥し合った。民主化の為の連帯など不可能になった。

❻第二次安倍自民党政権の誕生。特定秘密保護法、安保法制など反民主主義、軍拡路線へ。カウンターデモクラシーの高まりでSEALDsなど若者が街頭に。新しい社会運動の姿を見せる。民主化の大きな進展だ。しかし、安倍独裁の前に撃沈。市民は立ち上がるも労働者は企業奴隷のままでは、民主化は不可能。

❼そして、コロナ禍。民主化を放棄してきた日本社会の異様さが露呈。五輪の為にPCR検査を恣意的に絞り感染者数を少なく見せる政府のやり方は、国家主義そのもの。さらに、国民への支援がマスク2枚は漫画ですらある。コロナ対策より検察庁法案成立に躍起となる政府。これも民主化の遅れによる一現象。

❽コロナ対策を一切やらず、前回約束した公約も何一つも実現せず。豊洲問題では都民を欺いた。何より、コロナ対策より五輪重視で、対策が遅れ感染爆発を招く。さらに都知事立候補のためにアラートも休業要請も解除し、再び感染爆発を招く。なのに、366万票で圧勝。東京都民の民主化は程遠い。

❾都民の愚民的投票行為は、まさに日本の近代化の象徴。産業化と都会化を極めた世界都市。しかし、民主化は、東アジアでも香港や韓国などにも及ばない。むしろ、都会化の極み、煌びやかな快楽一杯の消費生活で、ブラック企業など産業化の矛盾は忘却。政治的奴隷状態には見向きもしない。だから愚民へ。

➓都会の煌びやかな消費生活に忙殺されても足元の矛盾は消えない。会社は人権も無く理不尽な命令とパワハラ、超過勤務。不安定雇用で将来設計もままならない。政治は、法治国家を打ち壊し権力も公金も私物化の極み。産業化と都会化はもう十分。民主化はやはり上からでは不可能。国民自身の課題なのだ。

11)国民自身が担う民主化とは。民主主義の実現か。デモクラシーは古代ギリシアでは、何も考えない多数の愚民が人気ある権力者に全てを委ね法律も無視した悪政を許す衆愚政治のことだ。それより1人の賢人による法律を守る正しい政治、哲人政治が理想とされた。しかし、それでは国民自身は主体ではない。

12)民主化とは、民が主になること。国民が主権者になることだ。権力者にお任せの愚民ではなく、権力者の政策を憲法に照らして監視・検証し、国民自身が社会的課題を認識し、その解決策を連帯の中で編み出し、政策提言運動を創造する。つまり、多数の国民が賢人となり主体的に政治参加することだ。

13)極まる産業化、資本主義化と都会化を放置して民主化は不可能だ。国民の6割は労働者。労働者が職場で権利と人権を守り闘い資本の論理を是正することが不可欠だ。生活者は、都会の煌びやかな消費生活に時間と資力と気力を奪われていては、民主化活動はできない。仕事と消費に明け暮れてはダメだ。

14)民主化には時間と気力と資力も必要だ。職場で時間と労力を搾り取られ、生活の場でさらに消費活動に時間と金を吸い取られていてはもはや何もできない。明治以来の上からの近代化、民主化無しの産業化と都会化で、私達は仕事と消費だけの愚民にされてきたのだ。故にそこから脱却しなくてはならない。

15)古代ローマの権力者はパンとサーカスで市民の支持を集めた。市民も大盤振る舞いする権力者を支持。権力者はその支持を基盤に法も秩序も無視して独裁に走った。莫大な借金でパンとサーカスを振る舞ったシーザーはローマ市民に最も人気ある独裁者だった。パンは産業化、サーカスは都市化に相当する。

16)ローマはパンとサーカス衆愚政治と独裁を蔓延化させた。市民は愚民となり主権者は存在しない。現代の私達もたくさんのパンを得る為に人権を捨て死ぬほど働き、煌びやかなサーカスに時間と金を注ぎ、民主化を忘却している。今こそ産業化と都市化の弊害を超克し、主権者として民主化に歩み出そう。