iwapenの日記

60歳にして考古学を学びに大学に入りました。また、社会や政治についても思いの丈を発信してます。

カミュの『ペスト』より

カミュは、『ペスト』で、次のように述べている。

「ペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです」

一見、えっ?という言葉だが、じっくり考えればこの言葉の重みが見えてくる。

例えば、最も誠実であって欲しい人は誰だろう。国のリーダーとしての総理大臣であり、今般なら厚労相であり、各自治体の長である。

まず、総理安倍晋三はどうか。どれだけコロナから国民を守る為に誠実に働いているだろうか。彼がやったことは、まだどの学校でも子供が感染していない時期の全校一斉休校と、コロナに効果のない布製アベノマスク2枚配布。しかも、いまだに届かない。そして、犬を抱いてコーヒーを飲みながらまったりする動画の配信。全てがパフォーマンスなのだ。しかも滑ってしまった。8割以上の国民が貰えない30万円支給も、額面の大きさだけのパフォーマンス。国民を救う視点無しだ。かたや、一番頑張ったのが、コロナより自己保身の黒川人事。コロナ禍以前から、防衛費だけを突出させ、感染病棟・病床を削り、保健所も施設・人員共に削り、生活保護や介護や年金など国民の命と暮らしを支える行政を尽く破壊してきた。かたや、モリカケやサクラ問題では権力の私物化、お友達への利権のばらまきを、公文書の改竄・捏造・廃棄などを駆使して、やりたい放題。
まさに誠実さとは真逆の嘘の塗り重ねをやってきた。

安倍晋三ポチ加藤厚労相は、全国的に徹底されていた発症4日目以降という検査条件を、自らの責任で多くの人を殺したのに、国民の誤解だと言い抜けた。また、たった2万件の検査すら、そこまでやるとは言っていないと、嘯いた。国民を助けるのでは無く、国民を欺くことしか考えていない。

自治体の長はどうか。大阪と東京はやたらにテレビに出て、半ばヒーロー扱い。
しかし、これもカミュが述べているように、病原菌との戦いは「ヒロイズムなどという問題じゃない」。
むしろ、ヒロイズムこそ戦いの阻害となる。医療現場はギリギリなのだ。それも、大阪も東京も、ヒーロー扱いを受けるその同じ知事が、公的な医療を徹底的に削減してきたからだ。公共交通も国民年金も介護も値上げとサービス低下で、社会的弱者の暮らしを直撃してきた。反対に、カジノとか、万博とかオリンピックとか、まさに不要不急の儲かるイベントに全力をあげてきた連中だ。ヒロイズムのパフォーマンスは、彼らの選挙戦略という底意に過ぎず、市民の命は二の次。だから、検査を絞り都府民の感染を爆発させた。その罪は大きい。しかし、ヒーローなので彼らへの批判は抑えられてしまっている。
ましてや、自粛を呼びかける一方で補償をせず、悲鳴を上げる飲食やサービス業など名指しで攻撃したり、「夜の街」などとまるで犯罪者扱い。一体、何を守ろうとしているのだろうか。

このように見ていけば、日本は、ほとほと誠実さの欠落した政治家ばかりであることがわかる。国民主権とか、住民自治とかの人類史的価値観は言葉としては言及するが、本音は権力者ファーストで、選挙でうまく国民を騙し権力さえ取れば、国民や市民の為の政治など露ほども考えていない。そんな本心がコロナ禍で明瞭に見えている。

カミュが、誠実さが唯一の方法だと言った意味は深い。