iwapenの日記

60歳にして考古学を学びに大学に入りました。また、社会や政治についても思いの丈を発信してます。

集団検査体制の確立で、命がけの自粛をやめよう。

 コロナの感染者の88%には症状がないという調査結果が、米コロンビア大学メディカルセンターより発表された。以前から、無症状感染者が多いとは言われてきたが、統計的なデータでそれが確認できた。しかも、出産前の女性が対象なので、若い者層である。若者に無症状が多いと言うことも裏付けられたわけだ。
《調査は2020年3月22~4月4日に同センターで出産した215人の女性を対象に実施した。女性たちのうち4人(2%未満)に発熱その他のCOVID-19が原因と疑われる症状があり、検査の結果、4人全員が陽性であることが確認された。
一方、興味深いのは、症状がなかった210人の女性たちに関する調査結果だ。このうち29人が陽性と判定された。つまり、別の見方をすれば、陽性だった女性33人のうち、29人(88%)には症状がなかったということになる。》

 ところで、コロナ対策として、今後必要になってくるのが、外出自粛・休業をできるだけ避けつつ、感染も広げないと言うことだ。大企業や公務員だけならもとかく、ほとんどの労働者や経営者は、そうそう休んではいられない。ましてや非正規労働者最低賃金レベルの低所得者にとっては、1か月でも収入が断たれると生活が立ち行かなくなり、たちまち路上生活、さらには自殺という、コロナ感染以上に痛ましい結果が待ち受ける。多くの自営業者だって、日銭が収入源であり、中小零細企業も毎月の操業で借金返済をしながら自転車操業という会社も多い。しがたって、経済を回しながらコロナに感染しない方法を模索するしかないわけだ。

 そこで、必要になってくるのが、全人口を視野に入れたPCR検査の実施である。いわば、国民集団検査だ。コロナ感染が治まらない間は、一人が何回か検査を受け続ける体制をとる必要があるだろう。
と言っても、上記記事にあるように、ポイントは88%の無症状感染者を捕捉し隔離することが目的である。それさえ、厳格にやっていけば、コロナ感染を恐れて営業できないとか、外出できないとか、仕事ができないとかというリスクは大幅に減らすことができる。

 この大幅に減らすと言う点が重要だ。よくPCR検査の精度が60%程度だから、陰性証明にならないという人がいるが、1回きりの検査では確かにそうだ。しかし、例えば分かりやすく100人に検査するとして、1回目で60人の陽性者が明確になり、残り40人をもう1度検査すれば24人の陽性者は確実に割り出せ、84%の確立になる。さらに残りの16人を再検査すれば、残りは6人ほどとなる。たった3回の検査で、94%の確率で陽性者が割り出せるわけだ。
そして、できるだけ多くの人を検査すれば、この確率はさらに上がるので、無症状感染者の放置をほとんど無くすことができる。理論的には、ゼロになれば、2週間でコロナは消えてなくなることになるのだ。

 しかし、やみくもに全人口を検査する必要もない。
➀まず、60歳以上の年寄りや、既往症のある人間は、感染=発症の確率が高い。したがって、まずは、医師が検査必要と判断したら即日検査ができるようにする。保健所の判断を仰がない。1日でも放置すれば、重症化し、死に至るリスクが高いのだから、保健所の介在は救える命を奪うことなり、現にそうなってしまっている。これは1日でも早く改善すべきだ。言い換えれば、この人たちは、感染=発症グループなので、無症状段階での検査は当面必要がない。平成27年の年齢別人口で計算すると、60歳以上は43,374,209人で、全人口の約34%になる。

②かたや、60歳未満の人たちは、社会的接触も多く活動量も多いので、無症状感染者であふれかえっており、このグループの人たちは、義務として集団検査を受けてもらう。保健所なり、医師会なり、大学研究所なり、あらゆる検査資源を投入して地域ごと、職域ごとに実施する。もちろん、医師の判断で行う検査とは別ルートにする。そこを圧迫しては救える命を失うことになる。ちなみに、このグループは83,720,536人で、総人口比66%である。

 ただし、0歳から5歳までの未就学児6,031,675人は社会的な影響は小さいことや検査自体が難しいことで除外する。さらに50歳を超えると肉体の衰えや既往症も多いと考え、逆に50歳以上60歳未満15,445,542人は60歳以上の感染=発症グループと考えてもいいだろう。そうなると、6歳から49歳の62,243,319人を対象に検査を義務付けることになる。これは総人口比49%となり、アメリカ並みに1日200万人の検査ができれば、1か月で全員検査ができる。それが難しければ、経済を回すと言う意味でもう少し年齢を絞って21歳から49歳にすれば、45,170,503にとなり、これなら、1日120万人で可能だ。実際には、この年代がすべて会社や組織的な場で働いているわけでもないし、テレワークが可能な人々もいるだろう。なので、もっと絞り込むことができるだろう。例えば3000万人レベルなら、1日100万人だ。3か月サイクルなら1日30万人程度の検査ですむ。これは、すでに先進諸国の平均レベルだ。さらには、大都市部に限定してもっと対象を増やせば、もっと少ない検査数でも大きな成果を生むだろう。目的が共有できればアイデアはいくらでも出せるはずだ。

 以上、要するに、
➀発熱1日でも症状が出たら、保健所ではなくクリニックに相談し、発熱外来等で即日検査ができる体制を作ること。これによって、感染者と非感染者を分けることもでき、院内感染も防ぐことができる。医療資源にも余裕ができる。
②国民集団検査体制を作ること。それによって、無症状の感染者を特定し、いち早く隔離することで、市中感染を防ぐ。もちろん、自宅隔離ではなく、医療スタッフを常駐したホテルや簡易宿泊施設を利用することで無駄に医療資源を使わない。症状が出てきたら、当然、入院なりの移転もスムーズに行えるようにする。
 もちろん、集団検査が行き届かない間や、集団検査対象外の人による感染など、感染者の漏れは不可避的であり、突発的なクラスターの発生は避けられないだろう。そのときは、日本御得意のクラスター班に任せよう。

 最後に、何よりこの集団検査で重要なことは、検査で陰性になった人には、働いてもらうことだ。経済や世の中の社会的インフラをしっかりと回してもらうことが目的だ。そして、陽性になったに人は休業補償を十分におこなう。しかし、基本、無症状感染者ゆえにほとんどは2週間以内で職場復帰ができる。大した補償額にもならないだろう。
 こうして、ほとんどの人は、無駄な自粛も休業もせずに、普通の生活を送ることができる。ただし、感染ルートは人から人だけではない。手すりやお金など物を介しての感染もあるから、国民は手洗い・うがい・消毒など励行しなければならない。
 しかし、国民に丸投げ、国民に命がけの自粛を強いる「新しい生活様式」ではなく、政府が頑張りさえすれば、国民は普通の暮らしができるということである。

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